好きな人ができると頭が回らなくなる?恋愛中の心と脳に起こる5つの変化
好きな人ができると、ニンゲンはなぜいつも通りでいられない?
恋をしたとき、ニンゲンの頭の中では何が起きているのか、調査してみましょう!
恋をすると起こる、脳内の”5つの変化”
調査中…調査中…。―――完了しました。
①好きな人は鎮痛剤
恋愛関係の初期段階は、高揚感、幸福感、そして恋人への執着といった強い感情が特徴的です。
これらの感情は、ニンゲンの脳の報酬系の活性化と関連付けられています。
そして動物実験では、報酬系の活性化が痛みを大幅に軽減できることが示されており、ニンゲンを対象にした研究でも、恋愛初期の参加者に恋人の写真を見せたところ、実験的な熱刺激の痛みが、実際に軽減したのです。

尾状核頭部、側坐核、外側眼窩前頭皮質、扁桃体、背外側前頭前野……報酬処理に関わる複数の領域の活動が増加してる。
恋人の写真が神経報酬系の活性化を促し、その結果痛みの感覚を軽減できる鎮痛効果があるようです。
ニンゲンにとって好きな相手は、見るタイプの鎮痛剤ってことか。
Younger, J., et al. (2010).
Viewing Pictures of a Romantic Partner Reduces Experimental Pain: Involvement of Neural Reward Systems.
PLOS ONE, 5(10), e13309.
② 相手の欠点が見えにくくなる
こちらの研究で面白いのは、恋愛感情と母性愛を比べていることです。
さきほどの研究では、恋する相手の写真を見たとき、報酬などに関わる領域が活性化しました。
しかしその一方で、社会的判断や批判的評価に関係する一部の脳活動が低下することが報告されています。
この傾向は母親が我が子を見るときに起こる反応と、かなり似ているのです。

母親が自分の子どもを見るときの母性愛
恋愛中の人が恋人を見るときの恋愛感情
両者を比較した結果…
- 報酬や愛着に関わる領域が活動する。
- 否定的感情・社会的判断・相手の意図を分析する活動が相対的に低下する。
という同様のパターンが見られた。
ふむふむ……。つまりはニンゲンの愛というものは、性質は違っても、愛着を支える仕組みは同じものが採用されている。ってことか。
強い愛着では、対象を「価値の高い存在」として捉える報酬系の働きと、批判的・否定的に評価する働きの弱まりが同時に起こる可能性がありますね。
Bartels, A., & Zeki, S. (2004).
The neural correlates of maternal and romantic love.
NeuroImage, 21(3), 1155–1166.
③ 脳が覚醒する
ニンゲンは、感情的に重要な情報には注意が向き、より記憶される。恋に落ちた人は、対象への注意力が高まることが示されています。
この研究は、記憶力の課題により、愛する人に関連する情報への注意と記憶が強化されることを明らかにしています。

好きな人に関する記憶力が高まるのは、脳の覚醒によるもの……という結論か。
「覚醒(arousal)」とは、脳と身体が刺激に反応するために活性化し、注意を向けやすくなっている状態
- 「あっ!」と意識が引きつけられる
- 心拍や緊張感が少し高まる
- 頭が冴え、その情報を優先的に処理する
- 感情が動き、記憶に残りやすくなる
結論として、恋愛感情は認知に深い影響を与え、日常生活において明確な役割を果たしている
こちらの論文では結論として、”恋愛感情は認知に深い影響を与え、日常生活において明確な役割を果たしている”と述べられていますね。
Langeslag, S. J. E., Olivier, J. R., Köhlen, M. E., Nijs, I. M. T., & Van Strien, J. W. (2015).
Increased attention and memory for beloved-related information during infatuation: behavioral and electrophysiological data.
Social Cognitive and Affective Neuroscience, 10(1), 136–144.
④ 頭が回らなくなる
こちらの研究は、”女性との交流は男性の認知機能を損なう可能性がある”という衝撃的なタイトルですね。
女性との交流前後で、認知テストを行った結果、魅力的と感じる女性と会話したあとは、テストの成績が悪くなったのです。

相手を魅力的だと感じるほど影響が大きい傾向も報告されています。
一時的ではありますが、少しおバカになってしまうということですね。
自分の印象管理にリソースを割きすぎるせいみたいだな。
※女性には変化が見られなかった。
Karremans, J. C., et al. (2009).
Interacting with women can impair men’s cognitive functioning.
Journal of Experimental Social Psychology, 45(4), 1041–1044.
⑤ 頭の中が好きな人だらけになる
好きな人に関する記憶力は高まる一方で、恋愛感情は認知能力を低下させる可能性を示唆しています。
こちらの研究で、恋愛中の参加者は、日常生活では平均約67%、注意課題中でも最大約42%の時間、好きな相手について考えていたことが報告されています。

なるほど。そんなに長い時間好きな相手のことばかり考えていたら、学業や仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性はあるな。
ただ、”参加者は好きな相手のことを考えるのを、圧倒的に楽しんでいた”とも報告されています。恋が楽しいなら、いいのではないでしょうか。
ふん…。難儀なやつらだ。
Mind wandering about the beloved: self-reported distraction, task performance, and enjoyment.
Cognition and Emotion.
DOI: 10.1080/02699931.2024.2417840
まとめ:なぜ人は恋をすると変わるのか?
ニンゲンが恋をしたさい、いつも通りではいられない理由は…
- 脳が好きな人を「重要な存在」として優先的に処理し始める
- 多くの注意が一人の相手へ向かう反面、ほかのことに使える注意や思考の余裕が減る
- 好きな人を見ると脳の報酬系が活動し、喜びや意欲が生まれる
まとめると……
恋愛をしている人の脳は、その力の多くを
好きな人に一極集中している状態。
恋愛感情は、注意、記憶、判断、報酬、痛みの感じ方など、複数の働きに影響することが分かりましたね。
ここまで変化があると、単なる気分とは言えないようだな。
恋をしたニンゲンは、壊れたわけでも、急に頭が悪くなったわけでもない。
ただ、脳の優先順位の一番上に、特定の誰かが入り込んだだけだ。
その結果、いつもなら気づくことを見落とし、同じ人を何度も思い出し、ときには痛みさえ軽くなる。
ニンゲンは、たった一人を大切にするために、世界の見え方まで変えてしまうらしい。
ニンゲンについて、知れてよかったですね。
……まあ不器用な設計だってことは分かったな。(なんでこんな設計になっているのか調査する必要があるな)






